日本の小学校とは大きく違いたいへんな能力別教育システムで、小学校は4年で終わる。
５年生から、成績や家庭の考え方などに応じて進路が分かれる。

小学校の成績（Leistung)により小学校の担任の先生と学校（校長）がお子さんの能力に適したその上の学校を決める。

希望する進路や学校と違えば学校と協議しなければならず、実際には4年生の一学期の成績で先生は進む学校を提案して来る。3月には進む先の学校に入学の申し込みを済ませて秋からの新学期に入る学校は決まっている。入試制度はなし。

各学校とも成績によっては落第があり、２年続けて落第すると下の学校に転校させられる。
卒業学校によって将来の職業を明確に区別する競争社会。

進学校に進むのは２０％位、地域によってはもっと多いところもある。日本のように９４％の人が高校の普通科（大学進学を目的）の教育を受けるところとは大きな違いである。そしてドイツでは圧倒的に多くの人が公立学校へ行く。外国人はこの4年間で（実際には前述の如く4年もないのです）ドイツ語を習得し良い成績を出さなければ希望の学校へすんなりとは進むことはできませんのでたいへんなことなのである。　

　子供のドイツ語力が不足で，学校が、その子供に対応することができ ない、子供の発達状態が入学に十分でないと判断した場合は、その年の入学を拒否されることがある。
　その場合の進路も学校より説明される。

　幼稚園と相談してもう１年幼稚園に通う。
　Ｖｏｒｓｃｈｕｌｅ（自治体により数は異なる。小学校に併設）に 通う。

　独自に私立の入学テストを受ける。

　２年連続して入学テストに落ちた場合は， Ｓｏｎｄｅｒｓｃｈｕｒｅ（養護学校）への入学になる。
　が，ドイツ語力のみの問題であるならば，学校，自治体と交渉して 普通学校に進める。

１週間の授業内容

科目名は日本の学校ならというたとえなので厳密ではありません。

特別ドイツ語クラス　( Ｅｘｔｒａｄｅｕｔｓｃｈｋｌａｓｓ、Ｓｐｒａｃｈｈｉｌｆｅ)

自治体によって名称は異なる。外国人が少ない地域，私立には設置が少ない。
ドイツ語を母語としない児童に対して，授業中のを取り出し，または放課後に特にドイツ語を教えてくれるクラス。
宿題を見る，ということに特化しているクラスもある。

Ｋｅｒｎｚｅｉｔ、Ｂｅｔｒｅｕｕｎｇ

放課後，１時，２時ぐらいまで学校で子供を預かってくれるシステム。
子供たちは宿題をしたり，保育者の下で遊んだり，時には工作をしたりする。
ドイツ独自の季節行事の工作などを取り入れえていることが多いので，
興味深い。さらに，ドイツ語で遊ぶため，帰宅後ドイツ人と接触のない家庭（仲良しの子供の家が遠いなど）にはお勧め。

小学校入学までの流れ

<入学対象児>　　　（自治体によってこの日付は異なることがあります。）

その年の６月３０日までに６歳になる子供は、９月より入学。
ただし、その年の１２月３１日までに６歳になる子供も申請すれば
入学テストを受けることが可能。
１〜２学年遅らせての進学も可能。
　　　　
<入学まで>
� 幼稚園から自治体に対して小学校進学対象児童が報告される。　

よって、幼稚園に所属していない場合は自動的に進学対象
児童とみなされない事があるので自治体に確認が必要。

� 地区の小学校の先生が幼稚園に２、３回様子を見に来る。
この際に父兄からの質問時間を設けるところもある。
進学対象児だけ集めて学校で子供を観察することもある。

� �の結果と幼稚園側からの報告により、入学テストの日取りが
決められる通知される（郵送のことが多い）。
ドイツ語に問題がある場合は、特別面接として個別に時間が取ってもらえることが多い。

� 入学テストを受け入学が認められれば事務手続き。
その後のスケジュールについて説明やプリントが来る。

� スケジュールに沿って身体検査，
入学直前のＥｌｔｅｒｎａｂｅｎｄ（父兄会）に参加。
宗教の選択。

�，�時点で，用意すべき文房具リストが渡される。
理解不能な場合，文房具店でリストごと渡し準備してもらう。

リストになくても教科書，ノートにはカバーをかける。
特に教科書は１年ごとに返すので，汚れ防止に透明なビニール製のカバーをかけることが必要。あらかじめ購入しておくと慌ずにすむ。

� 入学式は入学礼拝で始まるため，自治体によってはまず教会に集合するところもある。
通常はＳｃｈｕｌｔｕｅｔｅという大きな円錐形の紙の中にお菓子文具などをちょっと詰めてもって行く。
底に紙を丸めて詰めて重くなりすぎないようにする。

現地校入学。高学年からの場合

ドイツ現地校は小学校４年の２月中旬の中間成績表（zwischenzeugnis）でほぼ次年度の進路が決まります。

その為、ドイツ語皆無の状態で、高学年からの現地校入学は予想以上に困難なものとなります。

(メンバーの例）小学校５年４月に渡独、ドイツ語の筆記体さえ読めないところからのスタート。

我が家は町の中心部に近いところにあり、外国人の数も多く学校によっては、外国人クラス（Uebergangｋlasse)がありました。
といっても、１つの学校に１年から４年まで全ての外国人クラスを持っているという訳ではなく、１/２学年、３/４学年、５/６学年と２学年を
一クラスとした外国人クラスを、町全体の小学校で振り分けているという状態でした。
（A小学校には、１/２学年。B小学校には３/４学年というように）
少人数クラスで、年配の先生が担当というところが多いと思います。

外国人クラスの利点としては、同じ境遇の子供達の集まりなので、子供は精神的にリラックスでき、お互いに助け合い励ましあい
とても和やかです。

反面、いろんな時期に入学してくるので子供達の間に語学の面や学力の差があり、先生も一人ということで勉強の効率はとても悪いと感じました。

結果的には、U５/６年に入ることになったのですが、クラスメートはバスやUバーンを乗りついで来ていましたので、高学年外国人クラスを持っている学校は少ないと思われます。

選択肢（可能性）として、（Uは外国人クラスを示す）４月より、

という他に、４月より、

などが考えられましたが、下の子との小学校との兼ね合いもあり、下の子と同じ学校の U5/6に入学し、９月よりNormalクラス４年に１年在籍、次年度より ギムナジウムという進路をとっています。
うちの場合、９月よりNoraml４年生クラス希望を出し学校側と交渉しましたが、おそらく何の希望も示さなかった場合は、外国人クラスの先生の判断に委ねられ、後１年は外国人クラス在籍となったと思われます。
（上にあげた進路の選択支は会社の人事課の方が現地の小学校に相談しあくまでも可能性として考えてもらったものです。）

外国人クラスからギムナジウムへ進めるかということですが、日本人の場合、ほとんど例がないと思います。このクラスで１ばかりという成績であっても、レアルシューレへの進路を勧められるそうです。

他に、Grundschuleに行かず、直接ギムナジウムへ入学という例もあります。
全てのギムナジウムがガストシューラーを受け入れる訳ではないので校長先生と交渉が必要です。
ガストシューラーとして入学許可を得た場合、生徒はその後の成績の伸びの判断を受け、そのまま在籍できるかどうか決定されます。
ある一定の期間（半年）毎に、親と学校側の話し合いが持たれるのです。
ガストの期間は子供によって違いますが、ドイツ語皆無の状態で入学した場合、半年は成績がつかないので、少なくても１年半くらいはあると思われます。（知人の例より）
その後、何度か評価をを受け、問題がなければ、その他の生徒と同じ扱いになります。
在独期間が１年などあらかじめ決まっている場合や親がある程度ドイツ語が得意、叉は子供がとても勉強好き？な場合を除いては、この選択はお薦めできません。が。。やる気があれば不可能な事ではないと思います。

高学年で現地校入学（GrundSchule）の際、学年を下げればどうかと言われますが、確かに算数はレベルが低くなり、常に良い成績が取れることになりますが、１学年下げると、クラスメートは２歳も年下ということがあります。
（小学校入学の区切りとしては６月３０日というところが多い）
現地の子供は全く気にもしていないようですが、日本人にとっては落第したように思えて、引け目を感じるらしく、勉強とは叉別のストレスを生むことがあり、子供といえど楽観視できません。

ドイツの場合、住む地域、選んだ学校、校長、担任の先生によって子供の進路が微妙に変わってしまいます。
学校の言いなりになっているのではなく、親の意見を学校側にぶつけ、主張することが大切です。まるで相手にしない先生も多いですが親身になってくれる人もいます。そういう人を一人見つけると占めたものです。

（外国人クラスのない地域）
郊外の学校は外国人クラスがないところが多いようです。
そういう地域の場合、ドイツ語の補習の例としては、授業終了後補習を必要とする生徒をそのまま学校に残し、学校が依頼した先生（退職された方叉は休職されている先生）が授業をするという方法を取っている所と、生徒がその先生のお宅に通うというものがあります。どちらの場合も、補習の先生と担任の先生は密に連絡を取り合い、
子供の不得意とする所を早期に見つける事ができ、手厚い教育がなされています。
この補習は全て無料ではありませんが、個人で先生を頼んだ場合と比べると考えられないほど安価です

Q.日本人家庭でドイツの現地小学校に通わせている家庭はどういう家庭がありますか？

A.実際に日本人の短期滞在者（駐在員の家庭など数年）の子供が公立の小学校に通うケースは大変まれなケースになります。
たいていは日本人学校、もしくはインターナショナルスクールに入るのが大多数です。

それをあえてドイツ現地校に通うケースとしては、

１、住んでいる地域に日本人学校、インターナショナルが存在しなくて、現地校しか通えない。

２、ドイツ滞在が比較的長く、幼少のころからドイツに居たため、ドイツ語がかなり堪能になってきた。そのためドイツの現地校に通わせた。

というパターンが多いです。

Q.ドイツにも、アメリカのESLのように外国人児童にドイツ語を補習するクラスがあるように聞いていますが、どうですか？

A.都市部ではない（他にインターナショナルスクール、外国人学校などが存在しない街）場所では、そのような「スペシャルドイツ語コース」が存在します。

都市部の場合は、まったくドイツ語を理解しない生徒の場合、ドイツの公立の学校や、役所から、別の言語、その子供の国籍に応じた学校を推薦されてしまうケースが多いようです。

Q.小学校から、ギムナジウムへの進学について、外国人の場合はどうですか？

A.ドイツの小学校では Hauptfaecher（主要科目）のうち一つでも落ちこぼれていると、上の学校に上げてもらえません。トルコ人移民の子供たちも彼女の学校には多く、算数ができても、ドイツ語ができないがために、ギムナジウムにいけず（ギムナジウムがベストなわけではありませんが）、ハウプトシューレ、レアルシューレに行く子供が増えているそうです。
つまり、他のどの科目がいくら出来ても、できない「ドイツ語」が基準になって、上の学校が決められてしまいます（ドイツ語ができなければ話になりませんから当然ですが）。ギムナジウム、ハウプトシューレ、レアルシューレでは、数学や社会科などの中味も難度が違いますから、ハウプトシューレやレアルシューレに行くと、他の科目でも受ける授業の難度や高度は期待できません。

上の学校にいけるならまだマシで、小学校でも落第がありますから、そのできないドイツ語のためにもう一度学年をやり直さないといけないこともあります。
現地の学校に通うことは確かに学ぶものも多いでしょうが、ドイツ語が「準備段階」ということでは、かなり厳しいのでは、と想像します・・・。

ドイツ語は科目として四教科，全８教科)の平均で進学が決まります。ドイツ語ができないとものすごく厳しいです。

ドイツの小学校の教育事情があり、ドイツ語のある程度の習得には相当の時間がかかるということだと思います。一年生からゼロからスタートして二年間は最低必要だと思います。一年生や二年生はまだ内容が易しくていいのですが3年生ではディクテーションや作文が中心になり、数学も文章題が出てきます。必要によってはどうしても小学校で余計に勉強せざるを得ないかもしれません。しかしこれはしょうがないし、先のことを考えると良いことなのかもしれません。学校でのドイツ語の補修教育は期待できませんので家庭教師をつける必要があります。両親の色々なサポート態勢も重要ですね。

小学校4年生を持つ両親へは5年生からの学校や進路選択に関するその洲の現状に関する説明会があります。ずっと依然に聞いたデータですと5年生6年生の段階（試みの段階）でギムナージウムからレアルシューレに学校を変える子供は全国で10万人、レアルからハウプトへは10万人が移るそうです。つまり学校選択は実際は少し甘くなっており試みの段階で調整をしているということを示すデータでしょうか。能力別教育というのはギムナージウム、レアルシューレ、ハウプトシューレ、という進路を取ってますが常に成績次第でその後も進級できなかったり、学校を変わらなければならなくなったりするのは普通です。特にギムナージウムでは厳しいようです。成績が優秀の場合はレアルからギムナージウムに変わることも可能です。小学校4年生で一応進路を決定するというのはデータや研究に基づいているんでしょうね。ギムナージウムに入っても上へ進むにつれてクラスの人数は少なくなるし最上段階（オーバーストューフェ）に入るとクラスの数が減るそうです。そしてアビチュア試験を受からなければ大学へは行けませんので厳しくて厳正な評価をされるということでしょうか。オーバーストューフェになると大学での専攻やアビチュアなどを考慮して科目を個人毎に決めているようですからかなり手の込んだ教育をしていると思えます。ギムナージウムの場合ドクターを取った先生が多いのも恐らく日本やアメリカの高校とは違うということだと思います。ドクターがあればアメリではすぐに大学の教授になってしますでしょうから。フランスのバカロレア制度といい、ヨーロッパの教育思想というか文化ではないでしょうか。何も皆が大学に押し寄せる必要もないし、（能力分布からしてそれは無理だし）、その為に無益な競争をする必要もない、という思想だと思っております。私が本当に感心するのはこういう能力別学校選択を4年生の子供の両親（ドイツ人）が冷静に受け入れているということです。そういうドイツ社会の事実や事情を体験すると外国人ですから、マイノリティーですからとはとても言えなくなる心情を経験いたします。そこには能力とか努力を客観的に観る圧倒的に多くのドイツ人がいるからです。外国人でも努力次第でドイツ人よりも上手なドイツ語が学べますし好きな学問もできるからです。しかも無料ですから。移民のことも出ましたが私はドイツ語やドイツ文化をその中心に据えた移民対応は自然なのかなと思います。

Q.ドイツでは、アメリカのような公立学校における教育内容の格差や学校別学力格差などがみられるのでしょうか。

A.我が家は小さな田舎町に住んでおりますが，学校格差は歴然とあります。が、USAのようにランキングが発表されてはいません。数字的には，ギムナジウム、レアルシューレ，ハウプトシューレの進学率、があります。
これも公表されているわけではないと思います。自治体によって扱いが違うと思います。ギムナジウム進学率がよい，となれば大体においてよい学校とは思います。

我が家の子供は、こういった学校に進学しましたが，中間，下位レベルが低すぎて転校させました。子供は中間層に入ってもらいたかったのですが，そこがうまく形成されない学校でした。

ドイツは他の国に比べて安全なこともあり，住宅街が歴然と分かれる，といったことが少ないようです。駅によってがらりと変わる，というほどはっきりしていないと思いますが，やはり避けた方がいい地区はある、日本のように渾然としている感じでしょうか。
ゆえに，事前に住む地区，学校の評判等情報収集ができれば安心ですね。

A.まずドイツは圧倒的に公立校の国と言っていいと思います。私立が多い日本やアメリカとは大きく異なります。日本のような教育産業が必要ありません。公立校だけで大学まで教育が成り立つ国のようです。小学校から大学までは無料です。受験システムが無く、能力別教育がはっきりしています。日本やアメリカの教育がどちらかと言えばたくさんの人が大学教育を受けるという方向を目指しているようですが、ドイツは能力分布に応じて相応しい人だけ大学教育をという思想のようです。堅苦しいようですが、社会がこの無料の教育システムにコンセンサスを与えているようですのでこれ以上確かなものは無いと言ってもいいと思います。日本では教育にどういう訳かお金がかかりすぎます。アメリカでも良い大学は私立です。私がアメリカの私立大学で大学院を経験したときは既に授業料は高いものでした、今ならかなりの額になるのではないでしょうか。何でも資本主義です。ドイツのシステムは未だにこの対局にありますので社会主義なのでしょう、厳しいですがしかし大学教育もお金がかからないというのは良いシステムではないでしょうか。

以上のような理由から公立校は心配される必要はないと思います。雰囲気の悪い人が多いような地域に住居を構えられるようなことはないでしょうから学校差は心配されるほどではないと思います。但し公立小学校でも地域によっては大学まで行かせたいという人が多く集まる居住区もありますからギムナージウムへ５０％も行くというところもあります（有名小学校でしたが）。小さな市の小学校も経験しましたが本質的には公立小は同じだと思います。大きな町の有名小学校で競争の刺激を勉強に利用するというのも戦略ですが、小さな町で楽しい小学校生活をすごしながら勉強するというのも良いと思います。性格とか状況により判断すれば良いと思います。

Q.初等教育の段階で将来の大まかな進路が決められてしまうということは、ドイツ語習得の問題も含め、マイノリティにとっては大きなハンディとなるでしょうし、学力の伸び方にも個人差があると思うのですね。敗者復活戦というのか、実力さえあれば、大人になってからでも大学で学ぶチャンスは与えられるんでしょうか？

A.敗者復活戦あります。ドイツではレアルシューレ卒でも、例えばアーベントギムナジムといった、いわゆる夜間のギムナジウムへ行って、きちんと卒業すれば、ギムナジウム卒と同じ（100％同じかどうかはわかりませんが、ほぼ同じことには間違いなし）ことになりますので、大学入学資格も得られます。
２０を過ぎてから学ぶことの大切さを知って、アーベントギムナジウムへ行った人を何人も知っています（この学校は勤めながらでも通えるように、夜間になっています）。
子供の頃成績が悪くてレアルシューレしか出ていなくても、その後の努力によってはアーベントギムナジウム、大学を経て、弁護士や医者になることもドイツでは可能です。